カツーンカツーン。
鉄靴の音が虚空に響き渡り暗闇へと吸い込まれていく。
ここは、ワードナーの迷宮。
地下に広がる広大なダンジョンだ。
無限に広がるかと思える人工石造りの床と自然の編み出した鍾乳洞。
闇夜に潜む魔物達の群れで織りなされたダンジョン。
我々の旅した日々。
青空だけは変わらないあのノスフェラスの広大な砂漠。
象より巨大な毛むくじゃらの4足獣、人を丸のみする甲殻生物の群れと遭遇しながら旅したあの日を。
時空の歪みに存在する悪魔たちの居城パンデモニウムの広大な宮廷。
地下何層まであるのか解明されてない場所に赴き、次々現れる悪魔の群れを屠りに屠ったあの時間を。
そして奥深くにいるバンパイアの王を討伐したあの栄光の瞬間。
スラムに溢れた下級悪魔の群れを掃討したあの日々。
我々は勝利するもの。
具現化されし勝利と栄光、それが我々だ。
全てを見抜く魔法使いの知恵。
どんな巨大な化け物も叩ききる勝利を約束されし剣士。
ハヤブサすら撃ち落とすエルフの弓術師。
闇から闇へ、相手の後ろを取る盗賊。
灰からすら死者を復活させる僧侶。
悪を打ち破る領主の一撃。
どんなダンジョンも踏破出来る我々はこの薄暗い虚空を迷宮の闇そのものを踏破するだろう。
我らが故郷、生れし場所、真の闇、命の根源。
松明のかがり火に影を散らして照らし出される壁を片目に床を踏みしだくその時。
闇の中に潜む影をあぶり出すその瞬間。
我々の元にもたらされる数々の試練。
太古の英知が結集された罠の数数を突破するとき。
鋭い爪が、研ぎ澄まされた牙が我々を襲うとき。
全てをはねのけた時我々は真の栄光に包まれるだろう。
太陽の光を地の底にまで行き渡らせよう。
地の底に眠る悪を照らし出そう。
魔法の護符をわが手にもたらさん。
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